星は、温度が高いために光を放っており、
その光のほとんどを、温度によって決まる特定の色の光として放っています。
夜空の星を注意深く見ると、それぞれ違う色をしていることがわかります。
星は様々な色の光を、それぞれ違った強さで発しているのです。
星が放つ、これらの光のすべてが私たちに届くわけではありません。
いくらかは星の表面のガス(星の大気といいます)によって吸収されます。
例えば、星の大気中には水素がたくさん含まれていますが、その中を光が通る時、
水素によって赤い光の一部がいくらか吸収されます。
このとき、星のスペクトルには、その赤い光の部分に谷の様に見える暗い部分が現れます。
これが、スペクトルに谷がある理由なのです。
この谷を「吸収線」と呼んでいます。
水素が吸収する強い光をHαと呼びます。
水素はそれ以外にも、青から紫にかけて特定の色(波長)で光を吸収する事が知られています。
水素は、星が特定の温度範囲にあるとき、光を吸収します。
もし星がより熱かったり冷たかったりしたら、水素の光の吸収は弱くなります。
また、水素は、光を吸収するばかりでなく、時には光を放つこともあります。
光を放つときは、吸収するのと全く同じ色の光を放ちます。
もし吸収するよりも多くの光を放っているなら、スペクトルには谷の代わりに山ができることになります。
このような山は、雲が光を放って輝くので「輝線」と呼ばれます。
輝線もまた星の温度に依存します。星がある温度のときにしか現れません。
ここで、水素のスペクトル線が非常に弱い場合には、
熱いか冷たいかをどのようにして見分けるのでしょうか?
水素だけでできている星の場合は、見分けることはできません。
しかし実際の星の場合は、水素のほかに色々な元素の原子を含んでいます。
水素以外の元素の輝線や吸収線を調べて、温度などを知ることができます。
ほとんどの元素は、ある特定の温度で最も効率よく光を放ったり、吸収したりします。
そのため、その温度において元素の吸収線や輝線は最も強くなるのです。
ここで次に、星の色と温度の関係について少しご紹介しましょう。