この図は星のスペクトル型と明るさの関係をみるだけではなく、主系列星〜赤色巨星までの
星の進化を知るうえでもたいへん重要な図です。
一般的なH-R図には3つの星のグループが見えます。
1)中央を横切る細い帯は「主系列星(X型)」
と呼ばれる星の約90%を含んでいます。
太陽も主系列星であり、ちょうどこの帯の真ん中辺りに位置します。
星は星間物質(水素ガスから成る濃密なガス雲)から生まれます。
中心部では水素原子が※核融合してヘリウムに変わる事で、エネルギーを放射しています。
この様にして、星は主系列星として、一生のほとんどの時間を過ごします。
しかし、O−B星はエネルギーの消耗が激しく、他のG−K−M型星に比べて寿命が短い宿命を持ちます。
質量の大きな星はより熱く、
明るい(O型星は太陽の質量の60-100倍の質量を持ちます)のに対して、
質量小さな星はより冷たく、暗い事が分かります。
(M型星は太陽の10分の1の質量しかないこともあります)
※核融合とは・・
2つの原子核が十分近づくと,原子核の間に働く引力(核力)が静電的な反発力(クーロン力)に打ち勝って
1つに融合し,新しい原子核が生まれる事。
2)主系列の上や右にある星は、「巨星(V型)」や「超巨星(T型)」と呼ばれる星です。
星の内部にヘリウムがたまってくると、水素原子の反応は星の外側に移り、
これによって外側は膨らんでいきます。
その後、星はH−R図上で主系列を離れ、巨星へと移っていきます。
一方、内側ではヘリウムの核融合から始まって、様々な原子核(元素)がうまれています。
さらに核融合が進行した星は、H−R図上を右上に移り、巨大な赤い星(スペクトル型はK、M型に移る)
すなわち、超巨星となります。
図より、これらの星は、表面温度が低いにもかかわらず明るいという特徴があります。
これはすなわち、恒星の表面積がきわめて大きい(半径が大きい)為なのです。
3)主系列の左下にある星は、「白色矮星」と呼ばれる星です。
太陽と同じ位の質量の星は、一生の最後に外側のガスを吹き飛ばし、中心核だけが残ります。
この残った中心核が白色矮星です。
この星のスペクトル型はA〜F型(白〜白黄色)で、表面温度が高いにもかかわらず、暗いという特性を持った星です。
これはこの星の表面積が小さい(半径が小さい)ことを意味します。
しかし、1立方センチメートル(小さなサイコロぐらいの大きさ)あたり1トンという高密度であり、
地球ほどの大きさに太陽ほどの質量を持っているのです。
ここで、さらに各スペクトル型について説明する前に、
スペクトルの表れている色々な線について説明しておきましょう。
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