ストレムグレン球(Stroemgren sphere)



HU領域では、水素はほとんど完全電離状態にあります。しかし、光電離と再結合のプロセスを繰り返すために、OB型星からの紫外線はいずれ消費されつくされてしまいます。したがって、星のまわりにできるHU領域の大きさにはある限界があります。

その限界の大きさより外側では、星からの紫外線はとどかないので、水素が中性のHT領域になっているのです。電離水素ガス(HU)の状態から中性水素ガス(HT)への移り変わりは急激で、くっきりした境界ができます。このようにくっきりとした境界を持つ高温度星のまわりのHU領域を、ストレムグレン球といいます。


ストレムグレン球のイメージ
(r0:ストレムグレン球の半径)

ストレムグレン球の大きさ(半径0)は、高温度星から放射される紫外線の量(紫外域光子の数)と、星間ガスの密度によって決まります。典型的なストレムグレン球の半径は、数光年から数十光年です。

理論的なストレムグレン球は高温度星を囲んだ球のイメージですが、HU領域で有名なオリオン大星雲は、大変複雑な形をしています。

これは、紫外線によって電離される星間ガスの密度分布の濃淡が、場所によっていろいろであるためです。

また、HU領域をつくる高温度星が1個ではなく、いくつもある場合がほとんどであるからです。例えば、オリオン大星雲は、トラペジウムという4重星を含む約10個の星がその中にあります。




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